kintone(キントーン)の価格改定について
こんにちは。kintone(キントーン)導入支援のギャンです。
サイボウズより2024年5月31日にkintoneを含むクラウドサービスの価格改定のアナウンスがありました。そこで今回はkintoneに関する具体的な改定内容についてまとめてみました。
改定内容
最小ユーザー数の変更
現在の最小ユーザー数は5ユーザーですが、10ユーザーに改定されます。なお、現在、改定後の最小ユーザー数である10ユーザーより少ないお客様については、ユーザー数やコースの変更を行わない場合、2026年10月末までは契約したユーザー数で利用できるそうです。
2026年11月(2026年11月1日請求)以降は、改定後の最小契約ユーザー数に自動で切り替わるとのことです。
価格の変更
現在のユーザーあたりの価格(月額)は、ライトコースが780円、スタンダードコースが1,500円ですが、これがそれぞれ、1,000円、1,800円と値上げになります。年額の場合も、ライトコースが9,170円→12,000円、スタンダードコースが17,640円→21,600円となります。ゲストユーザーについても同様に値上げとなります。また、セキュアアクセスについては月額については変更はありません。(年額は2,940円→3,000円)
ワイドコースの新設
今回の改定において従来と大きくことなる点として、新たにワイドコースが追加されます。大規模利用に特化したコースとのことで、専用機能を追加し、利用可能なアプリ数・スペース数・APIリクエスト数を他コースより拡大したものになり、エンタープライズ企業での大規模利用を想定したものだそうです。こちらは価格が月額3,000円と現在のスタンダードコースの倍の価格になり、最小契約ユーザー数も1000ユーザーとなりますが、アプリ数やスペース数が拡大され、アプリごとの1日のAPIリクエスト数が1万から10万と大きく拡大されます。さらに、大規模利用向けの機能として、ポータル強化、プロセス管理強化、アプリ分析がリリースされる予定です。
ポータル強化
- 組織・グループ別の表示制御
組織やグループごとに異なるお知らせやアプリ、スペースへのリンクメニューを表示できます。また、表示内容については、システム管理者がポータル設定にて制御できるため、全社公式のアプリとユーザー部門が作成した同名アプリの区別が付かないといった混乱を防止できます。 - アプリやスペースをソート/分類で見つけやすく
アプリやスペースをカテゴリに分類して表示できます。「人事関連」「IT申請」「困った時は」など業務や利用シーン別にアプリやスペースを分類しておくことで、必要な機能にすぐ到達できます。 - 外部システムへのリンクもまとめて管理
アプリ、スペースのメニューには、kintone以外のシステムへのリンクを表示できます。kintoneアプリとそれ以外のシステムへのリンクをまとめて表示することで、利用者にとって分かりやすいシステム導線を実現します。
プロセス管理強化
- 承認アクション時のコメント入力を必須に
kintoneのレコードコメントは、アクション時の双方向のコミュニケーションには便利ですが、入力を強制できないため、重要な承認や却下の理由を記録できない場合があります。このプラグインでは、アクション実行時にコメント入力のポップアップを表示し、入力を必須にできます。コメント入力の表示有無や必須/任意は、ステータスやアクションごとに細かい設定も可能です。 - 承認履歴でアクション詳細とコメントをまとめて表示
プロセスの履歴表示では、承認日、承認者、承認者の所属組織(優先する組織)と役職、アクション、ステータス、コメントをまとめて表示する事が可能です。基本機能のステータスの履歴表示よりも承認状況を分かりやすく表示できます。 - 履歴のアプリ管理により内部統制への対応を強化
プロセスの履歴は、履歴アプリにて管理されるため、kintoneの機能にて書き出しが可能です。また、kintoneのレコードコメントでのやり取りとは異なり、ユーザーの判断で削除できないため、データの完全性を保てます。 - 一覧からアプリのプロセスの設定や状態が分かる
一覧画面上でプロセス設定がチャート表示されるので、多段階層での承認、条件分岐などがあるアプリでもプロセスの流れが把握しやすくなります。また、ステータス部分をクリックすることで、該当のレコードを絞り込んで表示でき、承認者が自身の手前のステータスの案件を事前に確認しておきたい場合にも活用できます。 - コードごとの進捗状況を強調表示
レコード詳細画面上でのチャート表示では、該当のステータスが強調表示されるため、プロセスの進捗状況を直感的に確認できるようになります。現在のステータス以降のプロセスを把握して、レコードコメントから関係者に事前連絡しておくなど、プロセスを円滑に進める上でのコミュニケーション支援にもつながります。
アプリ分析
- 組織別アプリ保持状況分析
アプリの管理者設定に基づいてアプリのオーナー部門を自動で設定できます。部門単位でのアプリ総数や作成推移、プラグイン利用状況、添付ファイルの総容量などもグラフ表示できます。部門ごとの最新状況が把握できるので、活用度の比較やアプリ作成研修会後の効果測定など、さまざまな活用が可能です。 - 権限設定分析
アプリの権限設定の状況を分析できます。管理者が1人しか設定されてないアプリやEveryone権限が付与されているアプリなど、セキュリティや管理面で注視すべきアプリを絞り込みにより抽出できます。 - 特徴分析
アプリのフィールド数やプロセス管理、アクセス権限設定などに基づく複雑さや添付ファイルやレコード数などのデータ量、APIリクエスト数などの特徴を5段階のチャートで表示します。 - アプリ関連図の表示
アプリ間のルックアップ、関連レコード、アクションの設定を解析し、アプリの相関図を生成できます。プラグインやカスタマイズによる連携や外部システムとの連携についても、あらかじめ設定しておけばアプリの相関図内で表現できます。
改定日
月額サービスの場合、2024年11月の利用分より改定後の価格となります。年額サービスの場合、2024年10月1日以降の申し込みから改定後の価格になります。
kintone(キントーン)の価格改定についてのまとめ
価格の改定は、昨今の物価上昇などを考えると、やむを得ない範囲ではないかと思いますし、月額1,800円でも費用対効果を考えると十分ペイできる金額だと思います。ただし、最小ユーザー数が現行の倍に増えることで、小規模な組織での利用は難しくなるのではないかと思います。ワイドコースの新設という点からも、現在のkintoneの利用者のユーザー数の割合などから小規模組織向けではなく、大規模利用の組織(エンタープライズ)向けへと舵を切るという判断をサイボウズとしてされたものだと思いますが、個人的な希望としては、零細や中小企業などでもkintoneを利用できるようなプランも検討していただきたいところです。